クローゼット番外編~愛する君への贈り物

「あ…メアリーが見てるわ。
ジョッシュ、少し離れて。」

ミシェルが小さな声でそう言った。
振り向くと、ミシェルの家の使用人の女性が、さっと物陰に隠れた。
きっと、シュミットさんが見張らせてるんだろう。
なんとも嫌な気分だ。



「ごめんね、ジョッシュ。
でも、今はちょっとおとなしくしておくしかないの。
実はね…今回だって、本当はここへ来ちゃだめだって言われたのよ。
だから、ジョッシュのことは大好きだけど、友達として好きだって言っておいたの。」

「……そうなんだ。」

ちょっと寂しい気もしたけれど…
でも、ミシェルの行動は正しいと思えた。
そうでなければ、俺はミシェルと会えなくなるんだから…
ミシェルと会えなくなるなんて、考えるだけでも嫌だった。



俺たちは、その後も仲の良い友人同士のように振舞った。
現実的には、確かに友人のようなものだった。
けれど、心の中にある想いは、お互いに恋愛感情だったと思う。
キスさえしたことがない程、プラトニックな関係だったけど、それでも俺たちの心の中には滾るような強い愛情があったんだと信じている。