悩み部です。どんな悩みも受け付けます!




〜部員〜
・北村 優葉(部長)1ーB
・酒井 未羽(副部長)1ーA
・白石 高飛(部員)1ーD
・岡本 和成(部員)1ーC
・佐伯 謙介(幽霊部員)1ーB




人は生きていく中で必ず悩みを抱える。それって誰に話せば良いの?小学生の時にふいに思った疑問が今、私の人生を大きく動かした。







エピソード1 ~学年1の美女の悩み~

「起立、礼」チャイムがなった途端、4人の生徒

が廊下を一気に走り出す。どの部活よりも早く部

室につかなくてはいけない。これは悩み部の部則

だ。 部室は1ーGの空き教室にある。悩み部は今

年から生徒の希望で立ち上げられた新しい部活で

ある。1ーGに着くとまず出席が行われる。「未

羽、高飛、和成、謙介、謙介いないの?何で?」

優葉の問いかけに誰も答えることが出来ない。

「もういい、今日も部則を読んでから悩み部を始

めます。」



1.悩みは笑顔で聞きましょう

2.担当した依頼人は皆んなで責任を持って解決し
しましょう

3.挨拶、礼儀はどの部活よりも心がけましょう



「それでは本日も、悩み部を始めます」

皆んなが自席に着く。机一つに椅子が2個。正面

向きで置かれており、まるで面接のよう。ここで

は悩みを聞いて欲しい人に悩みを聞いてもらうこ

とができる。例えば、女子にしか相談したくない

相談や男子に分かって欲しい悩み、人それぞれ違

う。それに合わせて相談したい人にというルール

を付けた。

今日、悩み部を訪ねたのは学年1モテている美女

だった。名前は笠原 琴音、クラスは1ーB、性格

はおしとやかで誰にでも優しい、悩みなんてまる

で持ってなさそうな人が来た。琴音は同じクラス

の未羽の席に座った。

「今回は悩み部にお越しいただきありがとうござ

います。こちらの紙に名前、クラス、部活をお書

きください」ここまでは悩み部で固定された台詞

である。琴音は無言で頷きペンを動かし始めた。

やがて書き終えると未羽に紙を提示した。未羽は

紙を一通り確認すると「今回のご相談は?」と質

問した。琴音はゆっくり口を開け悩みを話し出し

た。「私はね、ほんとはこんなおっとりした性格

じゃないの。もっとボーイッシュでガサツで、性

格が良いか悪いかでいうと悪いの方かな、ここ何

ヶ月かはふわふわっとした性格で耐えられたけど

最近はめんどくさくて、私はありのままでいたい

の。何か良い方法はない?」言い終えた後の琴音

はとても満足そうに笑みを浮かべていたがあまり

の豹変っぷりに和成は言葉を失っていた。それは

そうかもしれない。和成にとって琴音はマドンナ

であった。そんなマドンナの裏をこんなにも近く

で見てしまったのだ。だが悩み部はどんな悩みも

受け付けている。そんなこともある。未羽は冷静

に琴音に問う。「琴音さんはこれからこ学校生活

で自分の個性を大切にし、自分らしく過ごされた

いということですね」

「ええ、そうよ。でも友達がいなくなってしまう

気がして。私の周りにいる人たちが私の側から消

えたら、私は1人になっちゃう。だからムリにで

もかわいい性格にして友達を保ってきた。」琴音

の本音に部員も緊張感が走る。だが解決者は未羽

だ。よっぽどのことがない限り、他の部員が口出

しすることは許されない。未羽は少し考えた後こ

う口にした。「私は琴音さんがかわいいキャラを

演じている時も琴音さん本人だと思いますよ。」

琴音は首を傾げた。「違うんだって。あれは私じ

ゃないもう1人の偽善者。」

「それは偽善者かもしれません。でもそれも琴音

さんが考えて行ったことです。だからそれも琴音

さんです。人にどう見せようが見られようが私は

琴音さんだと思います。だからどんな態度をとっ

ても理解してくれる友達との方が琴音さんにとっ

て居心地がいいでしょう。私はありのままの琴音

さんが1番素敵だと思います。 」琴音の目には涙

が溜まっていた。今までガマンしていた苦しさが

一気に洗浄されているように見えた。

琴音は「ありがとう。」と言って1ーGを走り去

った。未羽は一息ついて「緊張した〜」と満面の

笑みを見せた。

それから琴音はギャップが凄い美女としてこれま

で以上に皆から愛されている。

悩み部は相談者のため、今日も活動している。