『ん、乗って。』





「えっと、後ろですか?」





『…前でもいいけど。』






やった。






車のドアを開けると、先生の匂いが充満していた。





「……先生、」






『ん?』






「あの、彼女いるんですか?」






って、ばか。





何で今そんな事聞くの。






『あー、いる。』





あぁ、これは、






「…どんな人ですか?」





『内緒。』







多分嘘だ。







きっと、私を遠ざける為なんだ。








「あ、じゃあ私助手席座っちゃダメじゃないですか。後ろ乗ります。」







『別に大丈夫だから、大人しくしとけ。』







そう言って、先生は私の家へと向かった。