「あ、坂元先生じゃん。」
「先生、何で…」
『もうすぐ授業始まるけど、お前らサボんの?』
先生なんか怖い。
「先生〜大丈夫ですよ、サボりませんから〜。」
さっきまで涼は大人しかったのに、先生が来た途端にいつものテンションに戻った。
『成瀬は先に戻っとけ。』
「いや、僕蘭ちゃんと一緒に教室帰るんで。」
と、私の腕を掴んだ。
『……は?』
「蘭ちゃん行こうか。」
「う、うん。」
と、教室へと歩き始めた。
あ、そうだ、先生に言わないといけない事が…
「あ!先生!今日も放課後勉強しましょうね!」
先生から少し距離が離れていたので大きい声で言った。
先生は私に背中を向けたまま右手を挙げて、手を振ってくれた。
っていうか、
「涼、腕離して。女の子たちに勘違いされるから。」
さっきから掴まれたままだった。
「んーやだ。」
なに、やだって。
ちょっと今の言い方可愛かったけど、離して欲しい。
「蘭ちゃん、坂元の事が好きなんだね。」
「……そう。だから絶対内緒ね。」
「わかってる。あー、俺も本気出そっかな〜、なんてね。」
ん?
ちょっと聞き取れなかったけど独り言かな?
まぁ、いいや。
そして私はあと2時間もある授業を受け、とうとう放課後になった。


