最後の授業がやっと終わった。

西日が射し込む教室で、桃はいそいそと帰宅の準備をする。

「桃、もう帰るの?」

「うん、パフェ食べに行くから!」

「え! あたしも行きたい!」

「今日はお姉ちゃんとだから今度ね!」

「桃のお姉さんも見てみたいんだけど!」

「そのうち紹介するー!」

というか桜は一度、彼女らに会っている。桃の友だちはみんな可愛いね、と感情の抜けた声で言われたのは数日前だ。

友だちに手を振って、桃は早足で廊下を歩く。