宮沢は無表情で近づいてきて、桃の前で仁王立ちし、じっと眺めてきた。

「……? なに?」

なにやら物言いたげに見えるのは気のせいだろうか。

「あのさあ」

「うん」

あのさあ、と言ったくせに続きを言わないので、さらに首を傾ける。

「……おまえ、きょうだいいたっけ?」

「え? うん、いるけど。急にどしたの」

「……あーくそ、面倒だな」

苛立ったように頭を掻く姿は珍しい。いつも、斜に構えたような態度を崩さないのに。

「桃、あんたきょうだいいたの? 知らなかった」

「うん、双子のお姉ちゃんが」

「双子? すごい」

「わかった、住所教えて」

「はえ、住所? なんで?」

「年賀状送るから」

「まだ五月なのに!?」

「いーから」