桃は桜に体を擦り寄せた。

二人は塊になって、ソファーの上で物思いに耽る。

──つまり、もうこれで、宮沢と会話を交わすことはない。

その事実に思い当たったとき桜は動揺して、動揺したことに驚く。

どうして、少し寂しい、だなんて。

いやいや、と感情を打ち消すように首を振った。

「桃、私、明日午前中で終わるんだよ。そっちが終わってからどこか行く?」

「行くぅ」

パフェ食べたい、と涙声で懇願する桃に苦笑する。慰めやご褒美に甘味を所望するのは、昔から変わらない。

「いいよ。食べようか」

甘いもの、というキーワードが宮沢を呼び起こしそうになって、桜は紅茶を飲み込んだ。