「……っ」

頭がぐちゃぐちゃになって、桜は手を引っこ抜いた。

数歩先で宮沢が振り向く。

「……か、帰る」

「駅行くんだろ? 送るけど」

「一人で帰りたい気分!」

後退りながら叫んで、勢いよく身を翻した。

バス停があったはず。それで帰れるはず。……多分。

バスに乗ってから検索しよう、と思いつつ桜は走った。

宮沢は追いかけてこなかった。