宮沢は瞬間的に、なんだかいやな顔になった。

面倒くさそうで悪戯っぽくて、ちょっと黒い。

「女といるとこ見られて誤解されるとか、誘った女に気があると思われるとか」

「……あー」

反射的に桜は眉をしかめる。確かに桜は、彼が自分に気があるとは思わないが。

「待って、誰かに見られたら困るでしょ」

そう言ったのと前後して、甲高い声が響いた。

「あっれ、宮沢じゃん!」

ぎくり、と桜は固まる。悪いことはなにもしていないはずなのに、なぜだか顔を隠したくなる。

宮沢を窺うと、隠しもしない面倒くさそうな表情で振り返ったところだった。