強引に連れてこられた店で、桜は口を半開きにしている。

「俺これがいいなー。あんたは?」

「待って、なにこのお店」

「食わんの? 奢るつもりだけど」

「……じゃあこれ」

「一口交換しよ。すみませーん」

宮沢が店員に注文している間も、桜は呆気に取られ、周りを見回すしかできない。

店の客はほとんど女子。内装はファンシーなピンク色を基調に、白やら水色やら紫やら、パステルカラーでペイントされている。

メニューにあるのはパフェやパンケーキ、とても長ったらしい片仮名の名前がついていた。

「……宮沢くん、こんなとこ、来るの」

「来たかったんだよな。でも男一人はさすがにキツくてさ。ついさっき閃いたんだよ、あんたがいてちょうど良かった」

「来たかったの」

「来たかった」