「……関谷が真っ赤だ」

桃を観察している宮沢が呟いた。やめろ、見るな、と桜は言いたい。

「さっき思いっきり叫んでたよな、あいつ。なに言ってたんだろ?」

「さあ……。頑張れとかじゃない?」

「芍薬が一点。ゴール決めたのは関谷の好きな人だったりすんのかな」

「あー、かもね」

正直桜は今すぐこの場から立ち去りたいので、どうしても返事がおざなりになる。

ついでに、繋がれたままの左手を、やけに意識してしまうので。

「ふーん……。じゃ、行くか」

「へっ」

宮沢はいきなり歩き出した。手を繋いでいる桜も引っ張られる。

「ど、どこに」

「結構満足したから」

「帰るってこと?」

「飯食いに行こ」

「はあ?」

一人で行きなよ、という言は完璧に無視され、始終手を繋いだまま、店に連れていかれた。