観客席の最前列に、桃は運良く座ることができた。

ほくほくしながら試合開始の笛を待ち、胸を高鳴らせながらそれを聞いた。

緑色のフィールド上に、選手たちが散らばっている。

──牧野くん。見つけた。

驚くほど呆気なく、牧野の姿を両目が捉えた。

疑いなく彼だと確信したことがあまりに自然で、桃はなんだかふわふわした心地になる。

こんなにも好きなんだ。

一目でわかった。一目で恋した。運命なんじゃないかと、本気で信じるくらいに、私はあの人が好きなんだ。