「ただいま……」

「桜ちゃーん!」

「!?」

自宅の扉を開けると同時に桃が飛んできて、桜は仰け反った。

どうにか一日をやり過ごし、逃げるように帰宅したところである。

「なん……なんで!? 芍薬の方が遠いのに!」

「怪我をしたので早退しました」

「怪我ぁ!?」

ぎゅうぎゅう腕を絡めてくる桃を押しのけつつ、桜はなんとか靴を脱ぐ。

どうやら桃は、上がり框で桜のことを待っていたらしい。