ふるふると桃の手は震えていて、覚悟だけは伝わってきた。

事の前後がわからないので、とりあえず場所を移すことにする。

「桃、部屋行こうよ。玄関で座り込んでする話じゃないでしょ」

「あっ、うん、うん」

機械のように頷いて、桃は桜の手を取った。

子供のように繋いで二階に上がる。

二人共同の部屋に入ると、彼女は再び抱きついてきた。

「桜ちゃぁん」

「それで、なにが『お願い』なの?」

ぽんぽんと背中を叩きながら鞄を下ろす。