思わず感心していると、突然カーテンが開けられて、眩しさに桃は目を眇めた。

「あらっ、起きてたの」

そう言ったのは白衣を着た若い女性だ。顎くらいまでのショートカットの髪に、丸眼鏡が印象的である。

「……はい。ええと……」

「体は? 大丈夫? 体育の授業中に、頭にボールが当たったのよね」

「えっと……ちょっと痛いですけど、大丈夫です」

……そうだった。桃はようやくことの経緯を思い出した。

保健医らしい丸眼鏡の女性は、怖い顔で誰かを手招きしている。

遠慮がちに覗いた顔を見て、桃の動きが止まる。

牧野誠一だった。