「──うう……?」

桃はゆっくりと目を開いた。

どうやら横になっているらしい。

右側頭部が痛い。左肩も。

どこ……?

だんだんはっきりしてくる視界で捉えたのはカーテンだった。

その向こうから、厳しい口調の女性の声が聞こえてくる。

内容はよく聞き取れない。まだ頭が働いていない。

桃は右手をベッドについて、静かに上体を起こした。

……ここは、保健室……かな?

母校の保健室とは違い、天井が木目のきれいな茶色の板なので、判断に迷うがそうなのだろう。

ベッドも柔らかい。カーテンは温もりのある緑色だ。

芍薬すごい……。