なにがそんなにおかしいのだか。

「くっ……ふはっ。あー面白かった」

「その感覚はよくわからない……」

「オーケーオーケー、十分楽しませてもらったから、秘密は守ろう。……あ、そうだ」

「ん?」

「連絡先交換しようぜ」

「なんで」

露骨に嫌な顔をすると、ようやく笑いが収まった彼が再び覗き込んできた。

今度は瞳に、別の色が宿っている。

……いたぶる、みたいな。

にいっと唇の端を吊り上げたのを見て、桜は心持ち身を退いた。

「なんでってそりゃ、結末が気になるからじゃん。関谷に直接訊いたらだめなんだろ、あんたが教えろよ」

「ええ……」

「こんな愉快なことほっとけねーだろ。どうなったか教えてくれるだけでいいんだぜ?」

「……うー」

宮沢は要求を撤回する気はないらしい。

……致し方あるまい。

「……わかったよ……」

「よっし」

満足気に宮沢が笑うので、桜としては悔しいというか、不覚というか。

こうして桜のスマホには、数少ない男子の連絡先が登録されたのだった。