「保健の先生は、どこに?」

「知らん」

「……そうですか」

だんだん気持ちが落ち着いてくると、空気が気まずく感じられる。

男子と保健室に二人きりは……なんだかいたたまれない……。

「体の調子はもういいの?」

「あ、はい。……軽い貧血、かな」

「ふーん」

「……あの、もう平気なので、授業に戻ったら?」

「やだよ」

「やだよ?」

オウム返しに呟くと、宮沢は桜をまっすぐに見つめてきた。