桜の混乱を見てとった宮沢が説明しだした。

「あんたが倒れたから運んだ。保健医がいない。倒れてからそんなに時間は経ってないけど、授業は始まってるよ」

「……サボりはよくない……」

「まず言うことがそれかよ」

真面目な女子生徒の習性として、ついこぼしてしまった。

わざわざ運んでもらったのに、確かに無礼である。

「……ありがとうございました……」

「いーえ。ちょっと役得だったし」

「役得?」

「別に、なんでも」

「……?」

小首を傾げたが、宮沢は素知らぬふりだ。