「──ん……」

「起きたのか」

無意識に寝返りを打ち、うっすらと目を開いた桜は、男が覗き込んでいるのを認識して一瞬で覚醒した。

「……!?」

「あ、ばか」

驚きのあまりベッドの中で仰け反って、危うく反対側に落ちそうになったところを、男が腕を掴んで引き戻してくれた。

心臓の主張が激しい。

脈打っている胸を押さえつつ、そろそろと彼の顔を確認する。

宮沢仁だった。

ゆっくりと、事の経緯を思い出す。

職員室の前で倒れたのだ……。

そしてここは保健室に違いない。宮沢が運んでくれたのだろう。