眩しいグラウンドで駆け回っている牧野を延々と目で追いつつ、桃は胸を締めつけられていた。

体育の授業中、サッカーをしているのである。

地面に体育座りをしている桃たちのチームは、現在観戦中だ。

桃は女子たちの試合などそっちのけで、奥で行われている男子のゲームで活躍している牧野だけを、ひたすら見つめている。

白い半袖から伸びる腕が遠目にもたくましい。相手と競り合い、きれいにボールを奪っていく。

めっちゃ上手い……!

桃は一人で感動する。ものすごくかっこいい。弾ける汗、笑った顔すら浮かんできそうだ。

ああ、もう、幸せだ……。

至福のときを味わっていると声がかけられる。

「関谷さん、次試合ー!」

「あ、うん!」

いつの間にやら、女子たちの試合が終わったらしい。

桃はグラウンドに走り出た。