さて、問題はここからである。

時間とともに増える生徒たちを眺めながら桃は考える。

一目惚れの彼に出会えるだろうか。

一学年に八クラス、一クラスは四十人。

つまり芍薬高校の全生徒数は、約九百六十人だ。

千人弱……!

桃の高校とは比べ物にもならない。

その中から顔しか知らない彼を見つけ出したいわけだ。

学年も名前もわからないし、どう考えても厳しい。

うう……。

頭を抱えているとチャイムが鳴る。

な、なんだか、重厚な鐘の音だった。