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通盛が中宮亮の仕事を終え、六波羅の門脇家の屋敷に戻ったある日の夕方。
通盛は例のごとく父教盛の部屋に呼び出された。
理由は単純──婚姻についてだ。
二十四である通盛だが、まだ妻を持っていない。
とっくに縁談の話も上がっている年頃だが、通盛は縁談を断り続けている。
小宰相という想い人ができて彼女を慕う一方、どこか冷静に、彼女が自分などに振り向かないだろうとも思っていた。
とはいえ、小宰相以外との婚姻にはあまり気が乗らないので困ったものである。
嫡男である通盛が妻を娶らないので、弟たちも兄に先立って妻を娶り辛いのだ。
もっとも、武芸に熱中する教経は婚姻など積極的にしたいとはあまり思っていないだろうが。

