「……重盛が倒れたのはわしの責でもある」
苦しげに呟かれた言葉に平家の者たちは驚きに目を見開いた。
「平家の為と思うておったが、わしは重盛の立場を思いやれなかった。平家は天皇家をお支え申し上げておる一門ゆえ、葛藤があったのだろう。父と主人の間に挟まれ、何を選べばよいか分からず、一人抱え込む。重盛は真面目な男だからな。……」
清盛は彼なりに罪悪感を抱えていたのだ。
子供を苦しめる結果になってしまった自らの振る舞いを悔いて、都に戻ってきたのだ。
だが、この時、通盛は嫌な予感がしていた。
清盛の独白に生まれた、奇妙な間。
誰も言葉を発しない、この場にいる全ての者が共有する一瞬の合間に、緊張が走り抜ける。

