平重盛の葬儀からいくばくか経過し、ようやく華の都も以前のような落ち着きを取り戻しつつあった。

 平家の中で失われていた時が、再び刻み始めたかのようである。

 宮廷内の政争は影を潜め、今はただ皆が哀しみを抱きながらも前を向き、静かなる時を過ごしていた。

 小宰相は上西門院の御所法金剛院で女院と女房たちの話に耳を傾けていた。

 天皇が住まう清涼殿や御所の話、流行りの香、物語、歌──。

 あまつさえは、あの男はあの女と密かに情を通わせているなど、女たちの話題は事欠かない。

 特に、押し並べて輝くばかりの平家の御子たちについての話は大いに盛り上がる。