「通盛、今日のお前は元気が無いね」 笑みを含んだ、からかうような声によって思考は遮られた。 通盛の気遣わしげな視線に気付いたのか、重盛は面白いものを見たように笑い声を上げる。 通盛は感情を表情に出してしまった迂闊さに恥じ入り、重盛の顔をまともに見ることが出来なかった。 命が短い従兄を哀れんだ表情をしていたとしたら、通盛は自分を許せそうにはなかった。 無言で俯いていると、従兄は真剣味を帯びた声で独り言のように呟いた。 今日は、私の話をしよう、と。