病気のせいで、病気が生き急ぐせいで。長く生きられても成人出来るか出来ないか微妙な辺りらしい。

「まだ・・・、死にたくないな・・・」

「俺は医師じゃないし気休めしか言えないけどさ・・・。病は気からって言うし、病気を忘れるくらい楽しんでいればほんの小さな奇跡が寿命を伸ばしてくれるかもしれない。・・・ほんの小さな奇跡くらい、信じても罰は当たらないさ」

涙を流した彼女を抱き締める事は出来なかった。精神的に弱っている彼女を抱き締めたら卑怯な気がしたんだ。精神的に弱っている人を慰めるのは惚れさせてしまう確率が高くなると話に聞いていたから。だから俺は聞き飽きているであろう気休めを言ったんだ。大丈夫、生きられるなんて病気が発覚してから何度も言われてきただろうから。