過ぎた時間は違っても

何でだろう。彼女に臭い言葉を伝えたのは初めてなのにしっくり来るこの感覚は一体どこから来ているのだろう。中学の時の体育館以外に会った事があるのか。その時に俺は彼女に似たような言葉を伝えていたのか。

「じゃあもう一つ、お言葉に甘えようかな。今度は今より重たい話だけど大丈夫?」

「もちろん。君の話なら何だって聞きたいよ」

彼女は笑いながら、翔琉先輩に校内を案内していた時の体育館での話をしてくれた。自分には写真家になりたいという夢があると。高校を卒業してお金を貯めて世界を回って色んな風景を生きているかのように写真に収めたいと。でも、病気がそれを許してくれないらしい。彼女の病気は全ての能力が長けている事を引き換えに命を削るらしい。だから、バスケが上手いと言われるのも勉強が出来るのも病気のせいなのだと。