「・・・バスケは嫌いか?」

「好き・・・だけど・・・」

「じゃあもう一回やろうぜ?今度はお互い、手加減無しでさー」

彼は私を床に下ろすとバスケは嫌いかと訊いてきた。別に嫌いな訳じゃない。ずっと友達のように仲の良い兄と一緒に出来るから寧ろ好きな方だ。でも、目立つのは嫌い。嫌いになってしまった。
俯く私の目の前にボールを差し出してきた。お互いって、私が手加減したと思っているの。確かに本気は出さなかったけれど手加減していた訳じゃないのに。手加減してくれていたからまぐれで勝てたのに。
私は彼の笑みに答えるように立ち上がって運動着の上と上靴、靴下を脱いだ。そして、帽子も一緒に体育館の隅に置いてズボンの裾を折り込んだ。