ずっと犯人の逮捕を望んでいた大野和美は静かに泣き続ける。藍たちは、穏やかな目でそれを見つめていた。しかしーーー。

「いや、あのジジイを殺した犯人が逮捕されたとかどうでもいいし!あたしに一ミリも関係ないから!!」

大野花凛がそう言ったことで、部屋の空気が重く変わる。大河と朝子は明らかな怒りを見せ、如月刑事と原刑事は驚き、大野和美は言葉を失っている。

「あたし、今からライブに行くから!!」

そう言い、大野花凛は立ち上がる。その後ろ姿に藍は「待ってください」と凛とした声をかけた。

「……あなたに、お伝えしなければならないことがあったのでお呼びしたんです」

藍がそう言うと、大野花凛は不機嫌を体で表した。藍を睨み付け、足で地面をドンドンと叩く。

「だったら早く言えよ!こっちは忙しいだよ!」

「では、もう一度お掛けください」

大野花凛の態度に表情一つ変えず、藍は椅子を勧める。大野花凛は舌打ちをしてもう一度腰掛けた。