「それはまだわからないわ。防犯カメラの映像などを調べてもらいましょう」

介護老人福祉施設を後にし、藍は如月刑事に電話をかけ始めた。



如月刑事と原刑事は、大野三郎をひき逃げした犯人の捜査を続けていた。聞き込みをし、現場の近くにあった防犯カメラの映像から車種を特定することはできた。しかし、画像が荒くナンバープレートがよく見えなかった。画像は解析中だ。

「原、聞き込みはどうだったか？」

如月刑事が帰ってきた原刑事に訊ねる。原刑事は首を横に振った。

「シルバーの車が猛スピードで走って行ったという情報があったんですが、肝心のナンバープレートを見ていなかったらしいんですよ」

「……そうか」

画像の解析が終わるまでは、如月刑事たちは自分たちの足で捜査を進めなくてはならない。しかし、人の力では限界もあるのだ。

現場では、証拠があまり残っていなかった。その中で捜査を進めるのは至難の業だろう。