「前に食べたお前の肉じゃがもうまかったが、このハンバーグもうまいな」

如月刑事がそう言うと、「え?どういうこと〜?」と朝子がニヤニヤしながら訊ねる。大河の表情が固くなり、藍の言葉を緊張したように待っていた。

「この間、たまたまご馳走しただけよ。深い意味はないわ」

藍がそう言うと、如月刑事は落ち込み、大河は安心したようにポテトサラダを口にした。

「このちらし寿司、可愛いし美味しいね〜」

「いい奥さんになりますよ!」

原刑事と朝子が料理を褒める。藍は「ありがとう」とはにかんだ。

食事が進み、みんなのお腹が満たされた頃、藍は大野三郎の話を聞いて疑問に思ったことを話してみた。考えてみたが、どうしてもわからないのだ。

「……と言うわけで、なぜ認知症の三郎さんがこの街に来たのか、どうやって来たのか、何の目的があったのか知りたいの」

藍がそう言うと、「簡単だろ」と如月刑事が麦茶を飲んで言った。

「被害者は認知症、それも重度で家族のことも忘れてしまっている。被害者は施設を抜け出し、徘徊しているうちに事故に遭ったんじゃないか?」