しかし、中学生になった時にできた友達の影響であんな風になってしまったらしい。校則は平気で破り、学校もサボる。夜遅くまで毎晩遊びまわっているそうだ。

「だんだん父にも辛く当たるようになって、父は認知症になってしまったんです。本当は施設に預けたくなどなかったのですが、徘徊や物忘れが激しく家に置いておけなくなってしまって……」

大野和美の目から涙がこぼれる。藍がハンカチを差し出すと、「すみません」と言い大野和美は涙を拭った。

大野和美は、大野三郎が施設に入所してからも定期的に会いに行っていたようだ。しかし、大野花凛は会いに行くことは一度もなかったらしい。

「やっぱり、最低ですよ」

大河が呟く。しかし、藍は考え込んでいてそれに言葉を返すことはできなかった。

認知症、隣町、施設……。

キーワードをいつくか頭に浮かべ、藍は疑問を感じた。

一体なぜ、大野三郎はこの街に来たのだろう。



その日の夜、藍の家に大河たちと如月刑事と原刑事が集まり、食事を楽しんでいた。藍が「倒れて迷惑をかけたお詫びがしたい」と誘ったのだ。

テーブルの上には、藍が一生懸命作った料理が並べられている。それをおいしそうにみんなは食べていた。