「もう…」


私はひとしきりぷりぷりと怒っていると、いつのまにか私の家までたどり着いていた。



「じゃあ、今日はありがとうね、直。またバイトで。」


「ん、また迎えに来るから。」


「毎度毎度ありがとうね?暑いし、私一人で行ってもいいのに…」


「俺がしたくてしてるの。暑さとか関係ない。結を一人にするのが心配」


直の過保護には磨きがかかっているようだった。


「熱中症とか気を付けてね?」


「ん、ありがと。結も気を付けなね。じゃあね。」


「うん。またね。」


私が家の中に入ると直は帰っていったようだった。




その日の夜、杏樹ちゃんから電話がかかってきた。


「あのさ、結。」


「うん、どうしたの?」


「それが、今日の帰り道で東雲くんに告白された…」


「えっ!よかったじゃん!杏樹ちゃん、東雲くんのこと好きだったんでしょ?」


「う、うん…。」


「それで、答えは?」


「も、もちろんOKしたよ!でも…、これからどんな顔して会えばいいのか…」


「そんなのいつもの杏樹ちゃんでいいんだよ!東雲くんもそんな杏樹ちゃんのこと好きになったと思うよ。」


「そうかな…。」


「うん、そうだと思うよ!」


「ん、残りの夏休み一緒に過ごそうって言われたの。」


「じゃあ、一緒に遊んだりするんだ?」


「うん。またおって連絡するって。」


「そっかそっか。楽しみだね!」


杏樹ちゃんの恋バナに私の恋バナも混ぜながら私たちの夜は更けていった。