杏樹ちゃんが目を覚ましたのは、私たちが存分に流れるプールを楽しんできた後だった。


「ごめん!爆睡して!東雲くんもずっと見ててくれて…」


「気にしないで、杏樹ちゃん。私、楽しかったし。」


「そうだよ。俺もゆっくりできたから、栗田さんが謝ることじゃないよ」



私と東雲くんのフォローに杏樹ちゃんは泣きそうになっていた。


「二人ともありがと〜!!!」






そんなこんなで私たちのプールは幕を閉じた。





帰りは直が家まで送ってくれた。



「直は今日楽しかった?」


「うん。楽しかったよ?」


「ずっとなんか、険しい顔してたけど…」


そうなのだ、プールにいる間ずっと直は険しい顔をしてキョロキョロと周りを伺っていたのだ。


「…バレてたか。いや、結が可愛い水着着てたから他の人に見せるのがもったいないと思って。」


「へ?」


「あんな可愛い結の格好見せたくなかったよ、本当は。」


「そんな、可愛いって連呼しないで…、恥ずかしい…」


「恥ずかしがる結も可愛い」


「また可愛いって言った!」


顔を真っ赤にしてその顔を見られたくなくて両手で顔を覆っていると、手にちゅっと口付けられた。