夏が近付いて来た頃、学校のお知らせでテスト範囲が発表された。


花城高校通信制のテストは夏休み前の前期の終わりと冬休み前の後期に分かれている。


テスト範囲は毎月郵送されてくる高校のお知らせ版のような冊子に書かれている。


それを参考に皆、テスト勉強をするのだ。





『ねぇ、結。テスト勉強一緒にしない?』


「へ…?」


毎日までとはいかないが、夜寝る前に直と電話するようになって数日、そんなことを直が電話口で言った。


確かに直は授業中には寝てばっかりだし、勉強をしなければ進級も危ないかもしれない。


「うん!じゃあ、私の家でしよう!最寄駅まで迎えに行くよ!」



『はぁ…、結、そんなにホイホイと男を自分ちに招いちゃいけないからね?』


「え…?直だから呼んだんだけど…、もしかして、ダメだった…?」


『誰もダメなんて言ってないでしょ。行くよ。今度の火曜日でいい?』


「うん!火曜日の10時ごろでどう?」


『ん、分かった。最寄は◯◯駅でいい?』


「うん!迎えに行くね。」


『それじゃ、火曜日に。またね、おやすみ、結』


「はい、おやすみなさい。」


プツッと電話を切ると、今になって自分がとんでもないことを口にしてしまったのではないかと顔に熱が集まっていくのが分かった。



「(私ったらなんて大胆なことを…!)」



ベッドの上でジタバタしてから、ぴたりと止まると深呼吸をした。