ずっと会いたいと思ってた。小さな子供の頃なんかは夢の男の子がきっと私の運命の王子様だと信じていた位だ。

夢でしか会えなかった男の子。現実に会うことなんてないと、会う事なんて出来る訳がないと諦めていたのに。

(夢じゃ、ない)

ダラリと力なく布団から出ている男の子の手をソッと取れば、その手はまだ子供特有の丸みを帯ていて小さかった。

優しく両手で包むと無意識なのか眠っている筈の男の子の手が私の手を握り返す様に力が込められた。

それに先程の台詞が蘇る。

(側に…か)

簡単に考えるとそれは私に側に居てくれと言うことだろう。

どうしてこの子が私にそんな事を言うのか、どうして何年も私は同じ夢を見ていたのかなんて分からない。

だだ、この子は私を必要としてくれている。

こうして会ったばかりで、ましてや会話さえしていないのにおかしいかも知れない。夢で見た男の子寂しそうな表情に同情しているのかも知れない。

何故だろう。

この子が、この幼い小さな手がこんなにも愛しく感じるなんて。

私も側に居たいなんて。


第一章・終