冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~

けれど、彩実の思いをあざ笑うように諒太は唇を歪め、ふたりの距離を詰めた。

「小関の御曹司と結婚できなくて残念だったな。だけど心配するな。白石ホテルの社長夫人も悪くないと思うぞ」

「……なんなの、いったい」

執拗に繰り返される暴言に彩実は疲れ果てた。

ここまで彩実を痛烈に非難し、とことん追い詰めるような言葉を並べ立てておきながら、平然と結婚すると口にする諒太に、彩実の中にむらむらと怒りが湧いてくる。

晴香の嘘に簡単に騙されるのにも腹が立ってきた。

彩実はたまりにたまったいら立ちに任せ、諒太をきっと睨みつけた。

「結婚なんて……あなたと結婚なんてするわけがない……んっ」

諒太は、彩実が結婚なんてするわけがないと強い口調で言い出した途端、彩実の体を抱き寄せ、その言葉を封じるように、唇を重ねた。

「う……っん」

突然抱きしめられ、抗う間もなく重なった唇に、彩実は目を見開いた。

同じように彩実を見つめ返す諒太の瞳に熱がこもるのを感じ、彩実の体も次第に熱くなる。

「やっ……」

顔を引いて諒太から逃げようとするが、諒太の手が彩実の後頭部を抑え、引き戻される。

「口を開いて」

いら立つ諒太の声に彩実の体は条件反射のように従い、言われるがまま口を開いた。

角度を変えながら何度も繰り返されるキスが、次第に熱を帯び、深いものに変わっていく。

気付けば何度も舌が絡み合い、ふたりの荒い呼吸が部屋に響いている。

彩実の体の奥底から熱いものがこみ上げ、足元もおぼつかない。

諒太は初めてのキスに混乱する彩実の手を掴むと、そのまま自分の肩に置いた。

彩実は不安定な体を支えるように諒太の肩を両手でつかんだ。

その間も諒太のキスは続き、彩実は初めて知る感覚に酔いしれる。

胸が高鳴り、体の中心が疼き、腰から崩れ落ちそうで、心もとない。