冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~

見合いとはいえ諒太とまた会えるとわかったとき、あれほど喜びワクワクしたというのに、こんなことならなにがなんでも断ればよかったと、強く後悔した。

小関家具の件なら、それこそ奥の手を使ってどうにでもできたのだ。

彩実は脱力し、うなだれた。

「なにも言い返さないのか?」

反論してこない彩実に、諒太は眉間にしわを寄せさらに言った。

「君のような妹が近くにいたら、晴香さんはおちおち恋人も作れないよな。いつまた君に恋人を奪われるのかと気が気じゃなくて結婚を考えることすらできないはずだ」

彩実は諒太からの刺々しい言葉に耐えながら、自分の姿を見下ろした。

諒太が自らラックから取り出して選んだ淡いパープルのミニ丈のドレス。

それを身に着けている自分が、情けなく思えた。

それに、なんといっても長い時間をかけて試着を繰り返して選んだウェディングドレスを見ると、ずんと心が痛み、落ち込んだ。

彩実自身も気に入り、似合っていると多少の自信を持って選んだドレスを、諒太もひと目で気に入ったようだったが。

ほんの少しの時間で彩実の心境は一変し、諒太とは結婚しないほうがいいのではないかと考え始めていた。

他人行儀な態度をとられたり、そっけなくあしらわれるのは我慢できても、まるで重罪を犯した犯人のように責め立てられるのは、耐えられない。

結婚も考え直したほうがいい。

彩実は婚約破棄によって引き起こされる面倒ななにもかもをいっさい考えないようにし、とにかく結婚はやめようと決意した。

けれど、彩実がその思いを諒太に伝えようと、うつむいていた顔を上げて口を開くよりも早く、信じられないような諒太の言葉が耳に入ってきた。

「俺は、今回こそ晴香さんに幸せになってほしいと思っている。だから、彼女と小関家具の後継者との結婚を君が邪魔をしないよう、俺なりに力を貸すことにした」