冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~

どうにか逃げようともがくが男性の力には敵わない。

『如月家の一員になるためなら、俺はなんだってする。姉でなくお前でもいいんだ。お前のほうが若くて綺麗だし気持ちよさそうだな。俺の子どもを孕めばもう逃げられないぞ。俺も名家如月家の一員になれるんだ。ほら、おとなしくしろよ』

男は彩実のスカートの中に無理矢理手を入れ、にやけた笑いを浮かべた。

何度もキスをしようと迫るが必死で避ける彩実が気にくわないのか何度か頬を叩かれた。

一瞬気が遠くなったが、気力でこらえ、必死でもがいているとき。

『先生が来てるって聞いたんだけど』

ノックの音とともに突然晴香が部屋に入ってきた。

友人と買い物に出かけていたのだが、その友人が体調を崩し早々に帰ってきたのだ。

晴香は彩実に馬乗りし、ブラウスをはだけようとしている男の姿に呆然とした。

晴香の姿を見て、男に押さえつけられていた彩実は助かったと思い、ホッとしたのだが、男のほうが何枚も上手だった。

『ずっと、彩実さんから好きだって言われていたんだ。俺にしがみついて何度も泣かれて……。俺も最初は晴香が好きだから断っていたんだけど、ごめん。どうしても突き放せなくて、そのうち俺も彼女に惹かれて……何度もこうして彩実さんに誘われるまま抱いていたんだ。彩実さんから早く晴香と別れろと急かされながら、なかなか言い出せなくて悪かった。だけど俺は、俺がいなければ生きていけないとまで言って死のうとした彩実さんを放っておけないんだ。今も俺に殺してくれとバカなことを言うから思わず頬を叩いてしまって……。ここまで俺を愛してくれる彩実さんとは離れられない。本当にごめん』

涙を流し土下座するその男の言葉を、晴香は信じてしまった。

愛しすぎていたせいで、男がなにを言ってもそれはすべて真実となり、疑うことなどなかった。