「あの、両家が姻戚関係を結ばなくても業務提携あたりで協力し合えると思うんですけど、祖父は確実な保証というか、約束がほしくて姉か私を諒太さんと結婚させようと考えたんだと思います。だからお見合いをしなければ、モデルハウスに小関家具の商品を使わせないと言って私にお見合いを強要したんです。そして、私はどうしても忍君が作った家具を使いたくて、この話を受けたんです」
彩実はたどたどしい口調で答えた。
決して嘘ではないが、彩実が諒太との見合いを受け入れた一番の理由は隠したままだ。
というより、言えなかった。
「……また、小関家具か。よっぽどその御曹司が気に入ってるようだな」
諒太の乾いた声に、彩実はどきりとした。
「君は姉が小関の御曹司と結婚できるのが羨ましいと言ったな」
「はい……。でもそれは、どうしても政略結婚させられるのなら気心が知れていて尊敬できる忍君がいいってことで……」
重苦しい表情を浮かべた諒太の視線が苦しく、彩実は気持ちを落ち着けようとそこでひと息ついた。
そして、政略結婚以外では忍と結婚したいとは思わないと続けようとしたのだが、諒太は細めた目でそれを遮るように制した。
同時に、それまで彩実の腕を掴んでいた手と腰に置いていた手を離し、すっと距離を取る。
彩実を突き放すように離れていく諒太の手を視線で追っていた彩実は、ハッと目を見開いた。
諒太のスーツの袖口からちらりと覗いた手首に、ブラックスチールのストラップの腕時計が見えたのだ。
それは白石ホテル創業五十周年の記念品として作られた腕時計だ。
限定五十本しか作られず、そのすべては白石家の人間に配られた。
それぞれに01から50までのシリアルナンバーが記されていて、ひとりにつき連番で二本の時計が渡されている。
既婚者の場合は、一本を配偶者のために。
彩実はたどたどしい口調で答えた。
決して嘘ではないが、彩実が諒太との見合いを受け入れた一番の理由は隠したままだ。
というより、言えなかった。
「……また、小関家具か。よっぽどその御曹司が気に入ってるようだな」
諒太の乾いた声に、彩実はどきりとした。
「君は姉が小関の御曹司と結婚できるのが羨ましいと言ったな」
「はい……。でもそれは、どうしても政略結婚させられるのなら気心が知れていて尊敬できる忍君がいいってことで……」
重苦しい表情を浮かべた諒太の視線が苦しく、彩実は気持ちを落ち着けようとそこでひと息ついた。
そして、政略結婚以外では忍と結婚したいとは思わないと続けようとしたのだが、諒太は細めた目でそれを遮るように制した。
同時に、それまで彩実の腕を掴んでいた手と腰に置いていた手を離し、すっと距離を取る。
彩実を突き放すように離れていく諒太の手を視線で追っていた彩実は、ハッと目を見開いた。
諒太のスーツの袖口からちらりと覗いた手首に、ブラックスチールのストラップの腕時計が見えたのだ。
それは白石ホテル創業五十周年の記念品として作られた腕時計だ。
限定五十本しか作られず、そのすべては白石家の人間に配られた。
それぞれに01から50までのシリアルナンバーが記されていて、ひとりにつき連番で二本の時計が渡されている。
既婚者の場合は、一本を配偶者のために。

