冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~

如月ハウスが手掛けているリゾート施設の中には、規模では負けているが白石ホテルをしのぐほどの人気を得ている高級ホテルがいくつかある。

ホテルの設備や内装、調度品、そして従業員の質などどれもが世界的なホテルランキングで上位に食い込むほどの高級ホテルだ。

その高級ホテルには星を獲得しているレストランが入っていて、宿泊客以外は利用できないという特別感とともに料理のおいしさとワインの品ぞろえの良さが有名だ。

そこで扱うワインの多くは彩実の親戚たちが経営しているワイナリーが醸造したもので、ここでしか飲めない極上の限定ワインも含まれている。

もしも賢一が小関家具の使用を反対するなら、フランスの親戚にお願いし、極上の限定ワインの出荷をストップしてもらおうと考えていた。

外国で暮らす麻実子や彩実を心配し猫かわいがりする親戚たちのことだ、彩実のお願いならすぐに承知しその日のうちに出荷を取りやめ今後の契約も破棄するだろう。

そうなれば、限定ワインをうりにしていたレストランの人気は落ち、ワインを飲みたいがために宿泊する客が減るのは目に見えている。

彩実はもしも賢一が小関家具の商品のモデルハウスでの使用を許可しなければ、この奥の手を使おうと覚悟を決めて、直接賢一に話を通したのだ。

ただ、フランスの親戚たちを巻き込み、ホテルの経営にも影響が出るのも明らかで、そしてなにより、限定ワインを味わうのを楽しみにホテルに宿泊する客たちに申し訳なく、できればそんなかけひきはしたくなかった。

だから、賢一が小関家具の採用をあっさりと認めたとき、彩実は全身から力が抜けるほどホッとし、心底うれしかった。

ただ、賢一らしいといえばそれまでだが、それには条件があった。

それが、諒太との見合いだった。