冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~

「あ、はい。それはわかってます」

比べたくても諒太のことはなにも知らないのだ、比べられるわけがない。

「で、俺との見合いを受けた理由はなんなんだ? 晴香さんとの見合いの前に調査させてもらったが、如月ハウスの経営状況になんの問題もなかった。だから嫌がる孫に政略結婚を無理矢理強いる必要はないと思うんだが。まさか表に出ていない負債でも抱えているのか?」

「い、いえ、それは違います。……といっても私は経営に参加していないのでわかりませんが、会社の先行きを心配しての政略結婚ではありません」

いきなり如月ハウスの経営状況を聞かれても困るのだが、決算資料を見る限り、健全な経営体質を維持していた。

「だったらどうして君はOKしたんだ? 如月の会長がこの結婚を望んだのは、如月ハウスがここ数年力を入れているリゾート開発事業の強化のために白石ホテルと手を組みたいからだと聞いているし、こちらも如月ハウスが持つ政界とのつながりが欲しい……いや、そんな裏の話はさておき、メリットがあるのはお互いさまだ。政略結婚なんてしなくても、協力しあえるだろ?」

「まあ……たしかにそうなんですけど」

諒太の察しの良さに、彩実は動揺した。

たしかに如月ハウスと白石ホテルには協力し合えば互いにメリットがある。

政略結婚しなくとも、ビジネスの上で両家のつながりを深めることは可能だ。

だから、もしも彩実がこの見合いを断ったとしても、如月ホテルの経営に大きな影響は出ない。

賢一もそれはよくわかっているはずだ。

それに、賢一がモデルハウスに小関家具の商品を使わせないと言い出したとしても、彩実は賢一を説得する手立てを持っているのだ。

それは滅多に使わない奥の手であり、彩実もできれば使いたくないのだが。