冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~

三橋は諒太の腕に手を置き、綺麗な笑顔で諒太を見上げた。

「わかった。俺はもう少しここで話をするから、後で部屋に来てくれ」

「え、だけど、衣装合わせは終わったんですよね。だったらもういいじゃないですか。どうせ結婚式も披露宴も新婦の意見なんて反映されないんですから、当日来てくれればそれで充分間に合いますし」

彩実に言い聞かせるような言葉に、彩実は眉をひそめた。

彩実と諒太の結婚というよりも如月家と白石家の結婚という意味合いが強いのはわかっているが、意見が反映されないときっぱり言い切られ、ショックは隠せない。

それに、親戚ならまだしもホテルの従業員である彼女のそんな発言を許している諒太にも腹が立った。

歪めた顔で諒太を見上げると、一瞬冷たいまなざしと目が合った。

「とにかく後で話そう。今はふたりにしてくれ」

彩実に視線を向けたまま、諒太は三橋に告げた。

「……わかりました。だったら後で副社長室に伺います。……如月様、失礼いたします」

少し高めの声でそう言って彩実に頭を下げると、三橋は納得いかない気持ちを隠そうともせず、荒々しく部屋を出て行った。

「さて。ようやくふたりになれたな」

諒太はもったいぶった口調で彩実に向き直った。

「え……」

ふたりきりになった途端、抑えが効かないのか、これまでになく攻撃的な声に、彩実は体を小さくした。

「どうして俺との結婚を承諾したんだ? たかだか白石ホテルの御曹司なんて大したことないんだろう? 嫌なら最初から断れよ」

彩実の体をぐっと引き寄せ、キスでもしそうな距離で彩実を責める。

まつ毛の震えや口角の微妙な動きさえ目に入るほど近くに諒太の顔が迫り、彩実はめいっぱい体を逸らした。

けれど、気づけば諒太の空いている手は彩実の腰に回されていた。