冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~

今すぐにでも忍に記事を読ませたいと思うほど、彼にとっては励みになるに違いない記事だ。

「いや、軽く見ただけで、詳しくは読んでないが」

飯島の問いに、諒太は彩実を責め立てたときとは打って変わった落ち着いた態度で答えた。

きつい口調で責めるのは、彩実に対してだけらしい。

「だったら、詳しく知らない忍さんや小関家具を侮辱しないでください。正直なところ、私は如月さんの……彩実さんのお姉さんがとーっても羨ましいです。あの小関忍さんと結婚できるなんて、本当に幸せなひとです」

飯島は夢見るようにそう言って振りかえると、彩実に「ですよね」と同意を求めた。

「あ、はい。私も、忍君と結婚するひとは絶対に幸せになれると思います」

飯島に促され、思わず本気でそう答えた彩実を、諒太がじろりと睨む。

「だが、どれだけ腕のいい職人だとしても、それに、小関家具は知る人ぞ知る有名なブランドだとしても、彼はまだ単なる職人だろう? 如月ハウスの甘やかされて育ったお嬢様が嫁いでも、経済的に物足りないよな。それがわかってるから晴香さんに押し付けておいて、素敵なひとだと言っても説得力もない。お嬢様の思いつきやきまぐれで家族を振り回すな」

「副社長……」

諒太が悪態をつく様子に飯島は呆れ、どうしようもないと肩を落とした。

彩実も呆れていたが、それ以上に忍を悪く言われたことに腹が立ち、どうにも我慢ができない。

彩実をどれだけ見下して非難しようが、我慢できる。

今日だって、見当違いのことで責められてもぐっとこらえてきた。

これからも自分自身のことならなにを言われても我慢する自信はあるが、忍を悪く言われて黙っているわけにはいかない。

彩実は飯島を押しのけ、諒太の前に立った。

そして、一度深呼吸をして気合を入れると、まっすぐ諒太を見た。