冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~

「それにしても、記事の内容が忍君に好意的なものばかりでよかった。私の結婚のことより、忍君が悪く書かれていたらまずいと思って、必死で読んでしまって……え、どうしたんですか?」

彩実は首をひねる。

「小関家具はどうでもいいんだ。問題は、今、桜子が……三橋が言ったように俺たちの結婚が役員会での報告を待たずに公になったってことだ。うちは頭の固い年配の役員も多いから、段取りを踏まずにマスコミにばれたとなると面倒なんだ。小関家具程度の会社なら、マスコミにばれても大した騒ぎにもならないだろうけど」

怒りが収まらないのか諒太の顔は変わらず赤く、声は高ぶっている。

「小関家具は、どうでもいい?」

諒太の言葉に、彩実は表情を硬くし低い声で反応した。

「そうだ。俺たちの結婚の件がスクープされたことが問題で、小関家具のことなどどうでもいい。今回の記事も、白石家に嫁ぐ君の姉がたまたま同時期に婚約したからついでに記事になっただけで、小関家具がとくに取りあげられたわけじゃない」

「……ついでに、ですか?」

彩実は目を細め、諒太に詰め寄った。

「なんだ? その通りだろう。それに、小関家具の後継者との結婚の話はもともと君にきたんじゃないのか? だけど、単なる家具職人と結婚するのは嫌だとごねて、俺と見合いした姉の晴香さんに結婚相手を交換しろって迫ったと聞いてるぞ」

諒太はこれまで我慢していたものを吐き出すように、声を荒げた。

彩実も同じように言い返しそうになるが、ぐっと怒りを抑えた。

「それって、お見合いのときに、姉から聞いたんでしょうか?」

「そうだ。妹は……君のことだ。君は甘やかされて育ってわがままなところもあるが、それが君の魅力でもあるからよろしく頼むと頭を下げられたよ。いいお姉さんだな」

終始晴香の肩を持つように話す諒太に、彩実は硬い表情を崩さずうなずく。

「それで?」