冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~

「えーっ。お姉さまが小関家具の御曹司と結婚? う、羨ましい。いいなあ。今回の披露宴に招待されていると知って、お会いできるのを楽しみにしてたんです。あー、残念」

心底悔しがる飯島に、彩実は苦笑した。

「たしかに忍君は格好いいし人間的にも立派で、才能もあるのでその気持ちはわかります」

忍の家具への強い愛情と、次期社長として小関家具を発展させるために努力する姿を見てきた彩実は、しみじみとつぶやいた。

「この記事にも書いてあるけど、忍君への期待値は半端なものじゃないでしょう? 家業の家具作りで忙しいのはもちろんだけど、自分の技術向上のためにコンクールにも積極的に参加しているし。それに、伝統技術を次代に継承するための世界規模のプロジェクトの一員として海外に行く機会も増えて忙しそうなの。実は、うちの仕事を受けてもらうのにもかなりスケジュール調整をしてもらったくらい」

すらすらと淀みなく話す彩実に、飯島は大好きなアイドルの裏情報を手に入れたように目をきらきらさせ、こくこくうなずいている。

「そんなに忍君が好きなら、お願いして忍君の工房に案内しましょうか? もしかしたら、素敵な家具に巡り合えるかもしれないし」

「え、いいんですか? 嬉しいです是非是非お願いします」

飛び上がり喜ぶ飯島と彩実を、諒太は相変わらず醒めた目で見ている。

ホテルの従業員である飯島までもが忍を気に入っているのが気に入らないのだ。

諒太の背後に控えている三橋も、記事を見てはしゃぐふたりに怪訝そうな視線を投げかける。

「飯島さん、小関家具はどうでもいいの。それよりも副社長の結婚のことが事前に明るみに出てしまって、大変なのよ」

「あ、そうですか……すみません」

悪びれず肩をすくめる飯島に、三橋は顔をしかめて睨みつける。