冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~

ウェディングドレスとは雰囲気が違う、軽やかなシフォン素材であっさりとしたデザインのものや、クラシカルなハイネックのドレスなど、迷うことなく次々と選んでは、その都度飯島に手渡していく。

手際よく決めていくその様子にも驚くが、飯島の手にドレスが五着ほど載せられたとき。

「とりあえず今日はこのパープルを試着しろ。残りは試着しなくていい。サイズだけ次回の打ち合わせで調整して当日に間に合わせればいい。あ、今日選んだドレスは全部買い取るから処理を頼む」

諒太は平然とした表情で飯島に命じた。

「はい、承知しました。えーっとカラードレスが全部で六着ですね。あの、でしたらお色直しは全部で六回ということですね」

「いや、式はチャペルだが、和装も着たいなら色打掛も、ありだな。だったら七回」

しれっと言い切る諒太に、飯島はふむふむとうなずいている。

少し離れた場所でその会話を聞いていた彩実も、つい「そうか、七回か……」と納得しそうになるが、飯島が抱えているカラードレスの数の多さを見つめているうちに、我に返った。

「あ、あの、お色直しが七回なんて、どれだけ時間かかるか考えただけで気が遠くなります」

突然大きな声をあげた彩実に、諒太と飯島が視線を向けた。

「あ、すみません。せっかくの披露宴ですから如月様もカラードレスをご自分で選びたいですよね。追加するならいくらでもおっしゃってくださいね」

「ち、違う。そうではなくて」

飯島の勘違いに、彩実はあわあわと言葉を失った。

「でも、披露宴で副社長が選んだドレスを着るなんて、ロマンティックですよ。それにほら、どれもこれも素敵なドレス。きっと如月様にお似合いです。たとえ十回お色直しをしても招待客の皆様は大喜びですよ」

自信ありげに胸を張る飯島の隣で、諒太がふと目を細め、笑った。

「あ……」