なんというタイミングだろう。

「あ、あの、私はその。このお話は……」

「ねえ彩実さん、ウェディングドレスはどういうのがお好み? とても綺麗だからどんなドレスでも似合いそうだけど。デザイナーを呼んで一緒に考えましょうね」

彩実の戸惑いなどまったく気づかず、順子ははしゃいだ声を上げながらあれこれ考え始める。

両親を見ると、直也は涙を浮かべて心配そうに彩実を見つめ、麻実子は生来の朗らかな笑みを浮かべ、彩実に大丈夫だとばかりに力強くうなずいた。

そして、こわごわと諒太に視線を向けると、少女のようにキャッキャとはしゃぐ順子を覚めた目で見ながら黙り込んでいる。

苦虫をかみつぶしたようなその表情を見た彩実は、諒太がよっぽど、この縁談を嫌がっているのだと改めて実感し、予想以上に落ち込んだ。

結局——。

その日、白石家と如月家の縁談がまとまり、三カ月後の十二月に挙式・披露宴が行われることになった。