冷徹御曹司のお気に召すまま~旦那様は本当はいつだって若奥様を甘やかしたい~

紺色の文字盤と深紅の三針が目を引く立派な腕時計だ。

今の時刻を忍に伝えながら、シリアルナンバー05のそれと対になった腕時計を身に着けている諒太を、思い浮かべた。

最近諒太と彩実の披露宴の様子をテレビやSNSで見た有名女優から、是非自分も白石ホテルで披露宴をしたいと連絡があり、今日はその極秘の打ち合わせがあるらしい。

もとより高級ホテルとして名高い白石ホテルだが、これでますますマスコミからの注目を浴び、さらに知名度が上がるのは間違いない。

そのせいで諒太の仕事量が増えるのは考えものだけど……と、彩実はほんの少し切なくなる。

そして、腕時計のストラップに隠れている赤いキスマークを思い出しながら、早く帰って諒太に抱きしめられたいと密かに願う。

抱きしめるだけでなく、キスするだけでなく、いつものように熱烈に抱いてほしいと、仕事中だというのに考えてしまう彩実の体のほとんどの場所には。

諒太がつけた赤いキスマークが残されているのだった。